関節リウマチについて

 関節リウマチは、手足をはじめ全身の関節が、腫れて痛み、進行すると変形したりする病気です。昔から、不治の病であるかのように怖がられたり、一方では、関節が痛いと何でもリウマチと思われたり(痛みは、リウマチか神経痛しかないと思っておられる人もいますが)、種々誤解を抱かれていますので、どのような病気かを、一度、勉強してみましょう。

どんな病気か?

関節リウマチ(以前は、慢性関節リウマチと呼ばれていました)は、初期の症状として手指の関節の腫れや痛み、特に、起床時の手足のこわばりが、多くの人にみられます。関節の腫れや痛みは、左右両側に対称性に広がり、膝や肘、肩等にも及びます。進行すると、皮膚や筋肉、血管、肺などにも症状がみられ、微熱や疲労感、食欲不振等が続くようになります。日本に約70万人の患者さんがいて、毎年、約1万5000人が新しく発症しています。8割が女性で、発病する年齢は40代をピークに、30代50代が多く、決して老人の病気ではありません。


何が原因か?

関節リウマチの原因はまだはっきりわかっていませんが、遺伝的要因を持つ人(関節リウマチになりやすい体質の人)が、ウイルスや細菌に感染した時(かぜをひいたり、ばい菌が体に入ったりした時)免疫異常をきたして、発病するのではないかと考えられています。また、過労や、ストレス、出産などが、きっかけになることも少なくありません。いずれにしても、ひとつだけの原因でなく、いくつかの要因が重なって発症するようです。どのようにして診断されるのか?
よく、“手が腫れて痛くなり、リウマチかと思って血液検査を受けたら、違うといわれたので安心した”というようなことを聞きますが、これは正しくありません。一般に、リウマチの血液検査といわれているのは、リウマチ反応(リウマトイド因子:RAまたはRFと略称されます)のことですが、リウマチ反応が陽性だからといって、必ずしもリウマチではありません。他の膠原病、慢性肝炎、結核の患者さんや一部正常な老人でも陽性になりますし。また逆に、リウマチ反応が陰性だからといってリウマチでないわけでもありません。全リウマチ患者の2割から3割はリウマチ反応が陰性です。関節リウマチの診断は、患者さんの症状(朝のこわばり、3ヶ所以上関節の腫れ、左右対称性におこる関節の腫れやいたみ等)や、レントゲン検査などの7つの項目によって診断されるものであり、リウマチ反応もそのうちのひとつに過ぎないのです。ただ、リウマチ反応が陰性の関節リウマチは、重症にならない場合が多いようです。


関節リウマチは治るのか?

リウマチの診断をうけると“リウマチは一生治らない病気でしょう? 私の手足は曲がりくねって、やがて寝たきりになるんですか?“と悲観にくれた質問をされる患者さんがいます。 これはほとんど当たっていません。関節リウマチは病気の進み方に4つのタイプがあります。約15%の人は、治療により軽快し、二度と発症しません。約70%の人は良くなったり悪くなったりを繰り返します。この中には程度がほとんど変わらないタイプと少しずつ病気が進行するタイプとがありますが、寝たきりになるほど重症になる人はほとんどいません。残りの15%程度の人が、治療によっても病気の進行が止まらず、関節がこわされて、車椅子や、寝たきりになってしまうことがあります。ですから、ほとんどの患者さんは、治療によりほぼ普通の生活を送ることができるのです。さらに、リウマチの薬は、現在非常に開発が進んでおり、画期的な新しい薬も開発されています。決して治らない病気ではありません。


治療について

A)リウマチの薬
リウマチの薬には、主に次の3つの種類があります。
1)抗リウマチ薬
免疫の異常を改善にして、リウマチの進行を止めたり、遅らせたりする薬です。以前は症状が進んでから使用されることが多かったのでが、最近では診断がつき次第、早期から使用してリウマチの進行を止めることが良いとされています。ただ、1つの薬がすべての人に有効であるとは限らず、また、薬の効果が現れるまでに2~3ヶ月かかるため、自分に合う薬を見つけ出すのに時間を要します。副作用も多いため、定期的な検査や、専門医による経過観察が必要です。
2)消炎鎮痛剤
一般的に関節炎に使われる痛み止め、腫れ止めの薬です。効果がすぐに現れ、痛みや腫れがひきますが、リウマチの進行(主に関節の破壊)を止めることはできません。副作用として、胃や肝臓、腎臓の障害があります。
3)ステロイド剤
強い痛み止め、炎症止めの作用を持つ、ホルモン剤です。胃潰瘍や、骨粗鬆症、顔のむくみ等、副作用が多いとされていますが、少量では、副作用は大きな問題とはならず、(胃潰瘍は消炎鎮痛剤の投与の方が多いという報告もあります)症状が強い時には大変有効な薬です。

B)リハビリ
関節の痛みや腫れをとったり、痛みを軽くして関節を動かすことによって、関節が固まるのを予防したり、筋力をつける目的でリハビリをします。レーザー、低周波・マイクロ電磁波、パラフィン、水治療とがあり、症状により選択、加療します。

C)手術
関節の痛みや変形が強いときに行う人工関節(膝、肘、股関節等が適応)や、腱断裂の手術などが行われます。症状に応じて、医師と相談してください。


日常生活の注意

規則正しい生活と、十分な睡眠、バランスの良い食事が基本です。ストレスを避け、風邪をひ かないことも重要です。リウマチに良い特別な食事というのはありませんが、体力と抵抗力を つけるために、良質なたんぱく質をとる事や、カルシウム、鉄、ビタミンの補給が重要です。